熊本の酒造技術向上を目的として発足し、野白金一博士を初代技師長として招聘。約70年前に開発した熊本酵母は日本酒造りの黎明期に吟醸酒の礎を築き、今日に至る。積み重ねられた実績、技術、知識、そして矜持。熊本県酒造研究所の小田卓治さん、中村昭廣さんら若手に“酒の神様”から始まったその全てが受け継がれ、息づいている。
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株式会社熊本県酒造研究所
熊本県熊本市中央区島崎1-7-20
公式HPへ肥後細川藩の御國酒である赤酒を造り続け、一方で県内でいち早く清酒製造に着手。県産酒の酒質向上のため、熊本県酒造研究所の開設に際して敷地を提供するなど熊本の日本酒文化の萌芽期を支え、発展を牽引してきた。瑞鷹の吉村謙太郎さんは農業と連携した新たな酒質設計に励んでいる。熊本の日本酒にはまだ見ぬ可能性が眠ると信じているからだ。
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瑞鷹株式会社
熊本県熊本市南区川尻4-6-67
公式HPへ指針とするのはワインツーリズム最先端を走るナパバレーのワイナリー。通潤酒造の山下愛子さんは酒づくりと並行して蔵カフェを通した地域振興にも取り組む。地域と蔵、人がつながる滞在型の酒蔵ツーリズムを山都町で。山下家は地域のシンボルである通潤橋を落成に導いた布田保之助の血縁。国宝の名を冠する蔵として、まちづくりに革新の一滴を垂らし、大きなうねりを生み出そうとしている。
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通潤酒造株式会社
熊本県上益城郡山都町浜町54
公式HPへ前身は米問屋、原料である米に一家言あり、酒造米・神力を進化させて新品種の九州神力を作り出したほど。普通酒全盛だった戦後には、全国に先駆けて純米酒の製造を復活。「朱盃」は先人の不撓不屈の精神を今に伝える銘酒。千代の園酒造の本田裕理さんは海外での市場開拓と拡大に注力。その挑戦は代々受け継ぐフロンティア精神の一端を見せる。
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千代の園酒造株式会社
熊本県山鹿市山鹿1782
公式HPへ霊山・阿蘇五岳のふもとで260年以上酒を醸し続け、代表銘柄の「れいざん」は出荷量の大半が地元で消費される。阿蘇の地酒とはこの一本のこと。山村酒造の山村弥太郎さんは歴史の重みを背負いながら、若い杜氏のアイデアを反映させた新たな一本を模索中。どっしりと構えながら、密かに、だが確実に、情熱のマグマを燃やしている。
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山村酒造合名会社
熊本県阿蘇郡高森町高森1645
公式HPへ不易流行を体現する蔵である。変えないことと、変えること。槽袋搾りをはじめとする手作業での酒造り、一般常識を覆すエッジの効いた商品開発。河津酒造の河津宏昭さんは日本酒度-20度の超甘口純米吟醸酒「花雪」をヒットさせた仕掛人。手仕込みならではの繊細で小回りの効く酒造りを強みに、今日も新たな設計図を描いている。
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河津酒造株式会社
熊本県阿蘇郡小国町宮原1734-2
公式HPへ代々続く医者の家系。治療費代わりの米で始めた酒造りは難関続きだった。日本酒の醸造には不向きとされる南国気候、鉄分を多く含む水。独自の酒造りを考案して逆境をはねのけ、力強い旨さの酒を生み出した。加えて、亀萬酒造の竹田瑠典さんは花酵母での醸造など新たな取り組みを実現し、次々と商品化する才覚者。南端から確かな存在感を示している。
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亀萬酒造合資会社
熊本県葦北郡津奈木町津奈木1192
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